こんにちは、いたる(@mixart_twit)です。
前作『フーガはユーガ』から5か月、伊坂幸太郎さんの新刊『シーソーモンスター』が2019年4月5日に発売されました。
今作は、「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」の2作品が収録されています。
【感想/あらすじ】フーガはユーガ/伊坂幸太郎 ※少しネタバレあり
後ほど説明しますが、この2つの作品は「小説BOC」の1号から10号に掲載。
競作企画『螺旋』プロジェクトの一環として、昭和後期と近未来を描いた作品です。
それでは、『シーソーモンスター』読んだ感想やあらすじを紹介していきたいと思います。

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『シーソーモンスター』の感想 ※少しネタバレあり
海の者と山の者、どうしても対立せずにはいられない相性がある。
2つの作品のテーマでもある「人と人との対立」。
「シーソーモンスター」では嫁姑の対立、「スピンモンスター」では子供の時に不慮の事故で家族を喪った2人の男の対立を描いています。
話し手が場面ごとに変わるなど、どちらの作品もテンポがとてもいいです。
すぐに作品に引き込まれ、次の展開を早く知りたいという衝動にかられました。
「シーソーモンスター」の舞台は、昭和後期のバブル絶頂期。
嫁の宮子は、直人との結婚前は情報機関で諜報員として働いている設定など、一昔前に人気があったスパイ映画さながらの展開で、どこか懐かしく感じました。
その反面、ちょっと展開が予想しやすかった部分はありますが、そこを含めとても面白い作品です。
もう一つの作品「スピンモンスター」の舞台は、今から30年後の近未来。
デジタル化が社会に浸透した時代設定で、自動運転車、ニュースカフェ、携帯やICカードや身分証明書などが一つになったパスカなど、伊坂さんが考えたであろう未来の製品やサービスがたくさん出てきます。
そんな未来の世界観も、この作品の面白いところです。
突如、何の争いに巻き込まれているのか分からないまま、手紙に書かれた一つのメッセージを頼りに進む物語と、スピード感のある展開に、一気に読み終えてしまいました。
作中にちりばめられた伏線を最後に回収していくスピード感は、前作の「フーガはユーガ」同様に、読んでいてそう快感があります。
伊坂さんが好きな方も、そうでない方も楽しめる作品ですので、ぜひ手に取ってみてください。
収録エピソードのあらすじ

「シーソーモンスター」のあらすじ
物語の舞台はバブルに沸く昭和後期。
製薬会社に勤めている北山直人は、妻の宮子と母のせつの3人で暮らしている。
そんな直人は、毎日のように妻と母の対立「嫁姑問題」に頭と悩ませていた。
宮子も最初は姑のせつとうまくやっていける自信があった。
しかし、蓋を開けてみれば毎日いがみ合うばかりで、日に日に対立を深める宮子とせつ。
お互い歩み寄ろうとするも、うまくいかず溝は深まるばかり。
どこにでもある嫁姑問題を抱える北山家だったが、ある日、宮子はせつの過去の行動に疑問を抱くようになり、せつの身の回りや周辺を調べて始める。
直人と結婚する前にしていた仕事柄、細かな点や疑問が気になってしまう宮子。
しかし、これをきっかけに宮子は大きな事件に巻き込まれていく。
「スピンモンスター」のあらすじ
物語の舞台は2050年の近未来。
あらゆるものがデジタル化されいる反面、容易に複写や改変が行われ莫大な被害が出ることもしばしば。
そんな社会では、重要な情報ほどデジタルからアナログでのやり取りへと、世の中の流れは変わっていた。
ある日、水戸直人は依頼人からのメッセージを配達するために新幹線に乗車していた。
直正は、デジタル社会の監視を嫌う依頼人のために、手書きのメッセージを人力で運ぶ配達人。
座席に座っていると、隣に座っていた眼鏡の男に「あとでこれをで読んでください」と言われ、封筒を渡される。
眼鏡の男は直正の仕事を知っている様子で、封筒を渡すとすぐ立ち去ってしまった。
訳が分からず渡された封筒だったが、この封筒が後に大きな争いの火種になるとは、直正は知る由もなかった。
『シーソーモンスター』の口コミ(レビュー)
#シーソーモンスター
伊坂幸太郎おんもしろかったー!
私はシーソーの方が好きだった!
女性が強いのって大好物。
戦えるとなお良し(笑)
こういうのもっと読みたい!
伊坂さん、ちょっと追いかけてみたい!…うーん、読了ツイートって難しい(笑)
— ふかつん (@regenbogen551) 2019年4月6日
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』中央公論新社
めっちゃ面白かった✨
カッコいいシーンあり、でもシュールでおかしいシーンあり(笑)
とにかく超面白かった✨大好きです✨ pic.twitter.com/zHC0l0ECse— 武美 (@Takemi0624) 2019年4月6日
#シーソーモンスター 伊坂幸太郎
伊坂作品は全作共通でストーリーをみても、個人に焦点を当てても楽しめるんですよ。
「人と人との対立」をしっかりと2編読み応えばっちりでした。
あと、親父ギャグっぽい言い回し増えましたね!期待してください。 pic.twitter.com/OuLZaGgqCC
— 秋 (@CHpv85) 2019年4月5日

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文芸競作企画『螺旋』プロジェクト
「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」は、中央公論新社130周年を記念して発刊された、『小説BOC(ぼっく)』の創刊にあたり、8組の作家による「螺旋プロジェクト」の作品の一つ。
「螺旋プロジェクト」は、「海族」と「山族」の対立をテーマに、古代から未来へまでの流れを、8組の作家が紡いでいく競作企画です。
- 歴史を超えて、「海」族と「 山」族の対立が繰り返される。
- 各作品に共通するキャラクターが登場する。
- 年代を超えた仕掛けがある。
- 最終的に、8作品が世界観を共有して壮大な歴史絵巻を織り上げる
※小説BOC公式サイトより引用。
各作品には「人と人との対立」をいう共通点あり、いくつかの要素を共有しています。
それぞれの物語が独立しているので、どれか一つだけ読んでもダメということありません。
ですが、全作品を読むことで物語が互いにつながりあう仕掛けになっています。
京見のある方は、ぜひ8作品すべてを読んでみてください。
電子書籍版は特典付き
『シーソーモンスター』の電子書籍版には、紙の本にはない特典が付いています。
その特典は、「”螺旋”の先にある新しい小説の景色 」と題された、早稲田大学文学学術院主催の文芸・ジャーナリズム講演会の講演内容を文字に起こしたものです。
これは、2016年4月27日に行われたもので、講演会には下記の方々が参加。
- 朝井リョウさん
- 天野純希さん
- 伊坂幸太郎さん
- 乾ルカさん
- 大森兄弟(兄)さん
- 澤田瞳子さん
- 薬丸岳さん
- 吉田篤弘さん
螺旋プロジェクトのことや小説のことなどの話しをしています。
紙の本には収録されていないので、読みたい方は電子書籍版を購入してください。